岡山県出身の陶芸家・阿波夏紀さんの個展が10月17日、「アンクル岩根のギャラリー」(岡山市北区中山下1)で始まる。
岡山県立大学在学中から磁器でオブジェ作品などの制作を始めたという阿波さんは、建築家の妹島和世さんや伊東豊雄さんのファサードデザインなどから着想し、「内と外をつなぐ曖昧なもの」をイメージした、数多くの穴を開けた作品を作るようになったという。
約1年ぶりの開催となる個展は今回で2度目。新作35点を展示する。素焼きした磁器に0.7ミリのペン先を付けハンドグラインダーで1つずつ表面に穴を空けたという器やぐいのみは、透明の上薬で穴をふさぎもう一度焼く「蛍手(ほたるで)」の技法仕上げた。どの作品も厚さ約2ミリで、上薬でふさいだ部分から淡い光が透けて漏れる。
阿波さんは「作品は一つずつ景色や空間、物語を思い浮かべながら作る。雪の降る銀世界やおとぎ話の世界のように空想する世界から模様を作っていく。用途は茶わんやぐいのみとしているが、特に決めていない。タイトルにフィンランド語を使った作品もある。タイトルは記号のようなものなので、手に取る人が自由に想像してもらえたら」と話す。
「白やグレー、淡い色合いが好き。ふんわりとした存在感のない作品を作りたい。白夜、雪国、非日常の世界、夜空、宇宙など好きなものや、絵本からインスピレーションをもらうこともある」とも。
会場には、グレーの磁器に空いた小さな穴からブルーの淡い光が漏れる作品と、プラチナを上から塗り焼いた作品も展示する。
開催時間は11時~19時。火曜定休。10月25日まで。