舞台「お伽(とぎ)草子・カチカチ山」が11月7日・8日、岡山禁酒会館(岡山市北区丸の内1)の中庭野外ステージで行われる。
昔話「かちかち山」を1945(昭和20)年、太宰治は「カチカチ山」として新しい解釈で書き直し、「瘤(こぶ)取り」「浦島さん」「舌切雀(すずめ)」を合わせた4本の短編集「お伽草子」として出版した。昔話に出てくるウサギは冷酷な美女、タヌキは愚鈍な中年男性として登場する。
舞台を主催する岡山演劇集団サライは、脚本・演出を手掛ける葛原一也さんを中心に、演目ごとに役者を結成するユニット。昨年5月、高橋いさをさん原作の戯曲「モナリザの左目」で初公演を行い、今回が2作品目となる。
葛原さんは「カチカチ山を太宰治が書いていたことも興味深い。太宰治の原作を新しく現代版にしなかった。当時の時代を感じる言葉の美しさをそのまま使いたかった。物語では、日本人的な共同体の在り方や残酷な復讐(ふくしゅう)、神聖な美への憧れなど感じることは多い」と話す。
出演者は、タヌキ役の井上瑞穂さん、ウサギ役の岡田夏美さん、おばあさん役の渋野由希子さん、おじいさん役の額田信一さんの4人。
今年4月25日・26日に予定していた公演は、新型コロナウイルス感染拡大のため中止した。今回、場所を野外に移し、人数制限をしての開催となった。葛原さんは「コロナ禍が収束したらでは、文化は廃れてしまう。野外公演は、開放的で自由度が高い。制御できない音や風、公演時間によって光や温度も違う。野外の面白さを楽しんでほしい」とも。
開演時間は7日=16時、19時、8日=11時、15時。料金は前売り=2,000円、当日=2,500円。