特別展「雪舟と玉堂~ふたりの里帰り~」が現在、岡山県立美術館(岡山市北区天神町)で行われている。
同展は、室町時代の宝福寺(総社市)で修業した禅僧「雪舟等楊(せっしゅうとうよう)」と、江戸時代の岡山市で生まれた琴(きん)を弾く文人「浦上玉堂(うらかみぎょくどう)」の作品など国宝7点を含む160点を展示している。
館内は、「雪舟らしさとは?」や「玉堂は何を表現したかったの?」などの質問に答える形式で展示セクションを分けている。全ての作品には、雪舟と玉堂のキャラクターが作品にコメントをしている。
同館の学芸員・八田真理子さんは「水墨画の品格や情緒はそのままに、子どもでも楽しく見られる工夫をした。副題の『ふたりの里帰り』は、作品が岡山に戻ってきただけでなく、キャラクターとして登場する雪舟と玉堂が客観的な立場として登場することでも実現している」と話す。キャラクターデザインなどは、イラストレーターparicoさんとチャンネルプロダクションの内古閑智之さんのユニット「paricode(パリコデ)」が担当した。キャラクター雪舟と玉堂のキーホルダー(900円)やメモ帳(330円)も販売する。
雪舟が描いた全長16メートルの国宝「四季山水図巻」は、1974(昭和49)年以来の岡山県内での展示となる。向かいの壁を使って、キャラクターの雪舟が同作品の注目ポイントを解説する。
「水墨画の世界は、理想や空想の世界。見る人も、絵の世界に入る想像をしてみてほしい。基本的には白と黒だけの水墨画の世界が、想像の世界では色鮮やかに見えてくる。脳内でのショートトリップを楽しんでほしい」とも。
「達磨(だるま)が登場する雪舟の『慧可断臂(えかだんぴ)図』は、約1.8メートルの大きさがあり迫力を感じられる。玉堂が実際に持ち歩いた『琴』や、琴の入れ物『琴のう』の展示もある。『琴のう』には、現代のキャリーケースやギターケースにステッカーなどがたくさん貼られているように、寄せ書きがされている。玉堂の水墨画には、「琴」を脇に抱えた人物が登場する。川端康成の愛蔵品としても知られる「東雲篩雪(とううんしせつ)図」には、筆を振ったような赤い色があり、注目してほしい」と見どころを話す。
開催時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、一般=1,500円、65歳以上=1,300円、大学生・専門学校生=1,000円、高校生=600円、中学生以下は無料。3月14日まで。