岡山在住のあみぐるみ作家・光恵(みつえ)さんが書籍「HOPE」を発刊して1カ月がたった。
オランウータンをモチーフに編んだ「オラン」を通して、あみぐるみ作家の光恵さんが野生動物の保護や環境保全について周知しようと、「編み物でちょっと地球にいいことを」をコンセプトに2月14日、発刊した。ニューヨークの写真家ボビーロペスさんが撮影した「オラン」の写真などを掲載する。
「オラン」は、2016(平成28)年の申(さる)年に向けたグループ展に向けて製作を始められた。オランウータンの骨格や生態など詳しく調べていくうちに、IUCN(国際自然保護連合)がオランウータンを絶滅危惧種に分類していると知った光恵さんは、2019年冬に絶滅危惧種をテーマに米国・ニューヨークで開かれた「世界あみぐるみ展」にオランを連れて参加した。掲載の写真は、開いたあみぐるみのワークショップに合わせて撮影してもらった。
光恵さんは「表紙は、ニューヨークのタイムズスクエアにある階段でレッドステップ。生態を守る緊急性を赤色で表現したかった。世界中の人が集まるこの場所で独り座るオラン。日本語と英語の表記を入れ多くの人に読んでもらえるようにしたが、紙も限りある資源なので限定400冊とした。当初はオランの写真集を作ろうと考えていた。編み物が世界に貢献できることがたくさんあることに気づき内容を変更した。絶滅危惧種や環境破壊に目を向けていない人にこそ届けたい」と話す。
同書には、ミュージアムエデュケーションプランナーの大月ヒロ子さん、同あみぐるみ展を主催したレゾボックス社長の池澤崇さん、クラフトアート人形コンクール主催者の高野明子さん、東京農業大学教授の松林尚志さんも寄稿。編み物作家で「どこにもない編み物研究室」の著者・横山起也さんとの対談も収めた。熊本大分地震をきっかけにぬいぐるみを使ったストレスケアに取り組む看護師で防災士の山中弓子さんのとのコラボ活動も紹介。編み物に親しむ人へあみぐるみを作って寄付する呼びかけも行うほか、ニューヨークで開催したワークショップで使ったオランウータンのあみぐるみレシピも紹介する。
光恵さんは「作家が公表するレシピで作った作品の販売はマナー違反とされることもあるが、売り上げの一部を自然保護団体などに寄付することを条件に販売を許可することにした。日本人にはなじみがない寄付行為を多くの人に広めたい」と話す。同書の売り上げの一部はオランウータンが生息するボルネオ島の自然保護団体などに寄付する。
価格は2,090円。光恵さんのホームページで販売する。