高梁市の就労支援施設などを紹介した冊子「ええが!」の配布が3月10日、始まった。
高梁市内の福祉サービス事業所や関係機関でつくる団体「高梁市自立支援協議会」が発行する。約1年前から準備を始め、当初は就労支援事業所で作られる商品などのカタログを制作する予定だったが、福祉業界のことをより多くの人に知ってもらいたいという間野さんの思いから、三部構成となった。デザイナーの古戎千夏さんが編集し制作した。
第1部では、平成30年7月西日本豪雨で自宅が被災した間野敏志さん、パン店兼住宅が被災した「パンポルト」(倉敷市真備町)の店主・戸澤実さん、「倉敷まきび支援学校」(同)の教頭・小割正史さんの座談会の様子を掲載する。テーマは「あれから3年 困ったときは『お互いさま』 災害が教えてくれた福祉」。
第2部では、就労継続支援のA型とB型、就労移行支援の違いや地域活動支援センターの種類、特別支援学校と特別支援学級の違いなど、対話方式で解説する。
第3部では、就労継続支援A型事業所「やまなみ」(高梁市)で作られる豆腐や、地域活動支援センターIII型「たかはし福祉作業所」(同)で作られる木工製品など、10カ所で作られる商品と施設・利用者の声を収録する。
古戎さんは「被災して支援される側になった間野さんが、支援してもらうことの難しさを語ったことは興味深かった。支援する側とされる側の相互理解とお互いの存在があって成立する関係性に気付かされた。障がい者は支援されるだけでなく、製造・販売を通して誰かを支援する立場になれる」と話す。
「私たちは、もっと高く・多く商品が売れることを望んでしまいがちだが、製作する現場では必ずしも望んでいるわけではないことを知る。同誌の制作に当たり、普通とは何かを考えるきっかけとなった。福祉業界には、普通でないものとして扱われる人たちを許容する土壌があり、むしろ健常者こそ、普通という概念に縛られ、窮屈な思いをしているように思えるようになった」とも。
配布場所は、高梁市役所の福祉課やパン店「パンポルト」、宮脇書店総社店(総社市)など。冊子は2000部を配布するほか、ウェブサイトでも公開する。