イラストレーター和田誠さんの作品展「和田誠展」が現在、岡山県立美術館(岡山市北区天神町)で開催されている。
同展は、和田さんが4歳~83歳の作品約3000点を展示する。生前、出身校の多摩美術大学に資料を寄贈する話があり、その後亡くなり、回顧展の企画が立ち上がったという。2021年10月の東京を皮切りに全国7カ所を巡回する予定。同館では3月24日、5カ所目の会場として展示が始まった。
「似顔絵」のコーナーでは、映画監督の黒澤明や漫画家の手塚治虫、イギリスのロックバンド・ビートルズなどの似顔絵を展示。「週刊文春」のコーナーでは、1977(昭和52)年から40年間、2000号までの雑誌・週刊文春の表紙が壁一面に並ぶ。「和田誠になるまで」のコーナーでは、4歳の時に描いた絵や、先生の似顔絵で作った時間割なども展示する。
岡山だけの展示として、2005(平成17)年に「オハヨー乳業」(中区神下)のために描き下ろしたオリジナル絵本「サンタのびっくりプレゼント」の全ページや当時の新聞広告などがある。同年に、岡山県立美術館が企画した展示「燐票(りんぴょう)大展覧会 マッチラベルのシンセカイ」で作家の合田誠さん、赤瀬川原平さん、杉本博司さん、横尾忠則さんらと共に作ったオリジナルのマッチ箱も展示。
同館のボランティアスタッフによる和田さんが関わった絵本の読み聞かせを22日・23日・28日・29日・30日(いずれも10時と14時から)に開く。
グッズ販売コーナーでは、岡山限定商品のほうじ茶とキャニスター、トートバッグ、レターセットを販売。いずれも1968(昭和43)年に発刊された絵本の英語教材「桃太郎」の絵を使っている。本展の図録は30トピックス、500ページを超える。
同館学芸員の森田詩織さんは「似顔絵、絵本、ポスター、映画監督、作曲、家族との仕事、装丁、アニメーションなど幅広い作品を展示する。来場者の世代によって親しみのある作品は違うかもしれないが、たくさんの作品があるため、新たな出合いもあるはず」と話す。
開館時間は9時~17時。月曜定休。入館料は、一般=1,200円、大学・高校生=800円、65歳以上=1,100円、中学生以下は無料。5月7日まで。