岡山市は現在、市の行政課題をスタートアップ企業から解決案を募集する「GovTech(ガブテック) challenge OKAYAMA」の応募を受け付けている。
同企画はスタートアップ企業の成長支援と行政課題の解決を目的として昨年スタート。創業支援・雇用推進課の河合祥次課長は「スタートアップ企業は、岡山市の実証実験を活用して自社のビジネスプランのニーズ把握や実用性の向上を図れ、実用化されることでブランド力の強化、同じ課題を抱える市町村への横展開の可能性もある。岡山市は、スタートアップ企業の持つ最先端のテクノロジーを使って行政職員が思い付かない切り口で課題解決ができる」と話す。
昨年は19の課題から5つを公募し、4つの解決案を予算化した。実際に、表町商店街、岡山駅前商店街、奉還町商店街で毎年人がカウントして行う交通量調査を、商店街にAIカメラを導入して、正確でコストを抑えた形で実施した。
今年は15の課題から6つを公募する。5つのテーマを事業化する予定。マッチングした解決案の実証実験には上限50万円の経費を支払う。
課税管理課の課題は、毎年5月中旬に約3万事業者に個人住民税の税額通知・納税通知を発送した後、問い合わせ電話対応にAIを活用したチャットや音声AI電話の導入することで、電話回線のパンク状態の解消。問い合わせ時に音声入力ができ、AIの正確な回答ができること。利用時間の短縮や利用者の満足度を測定して実用化する解決策を募集する。
保育・幼児教育課の課題は、岡山市内にある135園の私立保育園から届く約40種類ある補助金申請・報告書類を、現在の紙を行政職員が目視していること。内容の不備や誤りを確認して申請を行うまでのチェックをデジタル化する解決案を募集する。
障害福祉課の課題は、障がい者が働く「障がい者就労継続支援事業所」の販路拡大について、2021年度まで行っていた商談会以降、支援できていないこと。作業を委託する企業と受託を希望する事業所のマッチングを行うウェブ上のプラットフォームの構築など、事業所の営業力強化になる解決策を募集する。
創業支援・雇用推進課の課題は、若い世代の地元定着と中小企業の人材確保。これまで合同説明会の開催や「オカヤマカンパニーガイド」の発行など地元企業の魅力発信を行ってきた。新たな手法で、企業と求職者のタッチポイントを生み出す解決案を募集する。
人権推進課の課題は、これまでテレビ・ラジオで人権啓発を行ってきたが、LGBT、障がい者、貧困、ヤングケアラー、日本で暮らす外国人など人権について考える機会が少ないこと。SNSを使った啓発で人権を身近に感じられるコンテンツの制作を募集する。
農林水産課の課題は、確保すべき農地「農用地」の紙のデータしかないこと。問い合わせの対応が行政職員の負担になり、市民の満足度の低下にもつながる可能性がある。職員が使える検索システムやウェブページで市民が検索できるようにするなどの解決案を募集する。
応募受け付けは7月7日まで。