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岡山で「桃太郎」の絵画展 インドネシア・イラン・タンザニアの作家

「Momotaro Project(桃太郎プロジェクト)」を開催するカルペディアの徳永勇樹さん

「Momotaro Project(桃太郎プロジェクト)」を開催するカルペディアの徳永勇樹さん

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 絵画展「Momotaro Project(桃太郎プロジェクト)~どんぶらこ、海を渡る~」が1月16日、岡山県天神山文化プラザ(岡山市北区天神町)で始まる。主催は「Culpedia(カルペディア)」。

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 代表の徳永勇樹さんは商社に勤める会社員。英語とロシア語を話せる徳永さんは、約3年前に人口の約2割がロシア語話者のイスラエルに留学した。留学中、日本のことを詳しく伝えられなかった経験から、日本の伝統文化に関心を持つようになったという。帰国後、京都で茶道を学び、イスラエルの人たちとユダヤ教の思想を融合した茶の湯「ラビ茶」の発案にも携わった。

 文化の違いを再認識し、互いの理解を深めようと2022年7月、同プロジェクトを開始。日本人の誰でも知っているであろう物語として昔話の「桃太郎」を選び、インドネシア、イラン、タンザニアのアーティストに物語を翻訳して伝え、各アーティストが物語を8つのパートに分け、絵画を制作。見たことがないことや分からないこと、知らないことをネットなどで調べないことを条件に、アーティストは描いた。各作品は30センチ×40センチ。4~9カ月をかけて制作した。

 アーティストは、インドネシア・バリ島の伝統バトゥアン絵画のアーティストのイ・マデ・グリヤワンさん、イランの細密画「ミニアチュール」のアーティストのアミール・ホセイン・アガミリさん、タンザニアのポップアート「ティンガティンガ」のアーティストのアブダラ・サイーディ・チランボニさんの3人。

 依頼したアーティストには、なるべく異なる宗教や文化面を持った3人を選び、多様性を持たせた。徳永さんは「アブダラさんは桃を見たことがなく、現地で採れるマンゴーで代用して表現した。きび団子は日本特有の食べものだが、甘さ・辛さ・苦さなど全てが含まれた神聖な団子として描かれた。各国の文化や風土を反映し、善悪や鬼の存在などを表現した桃太郎の絵画が完成した」と話す。

 徳永さんは「各国のアーティストが物語の解釈を深め、独自の桃太郎ができた。今回の展示は東京と京都、そして桃太郎の街・岡山で行う。桃太郎に詳しい岡山の人からの意見などもらい、議論になればうれしい。今まで、日本の物語を海外に伝える『輸出』という観点はあったかもしれないが、海外のアーティストが描く桃太郎を見ることで最も勉強になるのは日本人なのでは。伝統文化に関心がない人、文化に触れる機会がなかった人でも、桃太郎というなじみの深い物語から改めて文化の良さに気が付くきっかけとなれば」と話す。

 開館時間は9時~17時。観覧料は500円。今月21日まで。

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