岡山在住の写真家・中川正子さんのエッセー集「みずのした」(くも3)が4月13日、発売された。
2011(平成23)年から現代まで書いたブログやSNSに投稿した文章と、新たに書き下ろした文章で構成する17編を収める同書。中川さんは2005(平成17)年ごろ、もやもやした感情や高揚した気持ちなど、感情を自ら翻訳し確認するような感覚でブログを始めた。その後、雑誌にコラムやエッセーを執筆したことや、写真に文章を添えるなどの経験はあったが、文章だけの書籍を出版するのは初めて。
これまでのブログをまとめて書籍化しないかという依頼はあったが、今回、新たな執筆の依頼であったことのほか、50歳になったこと、子どもが中学生になったこと、岡山に移住してきて干支(えと)が一回りしたことなど節目を感じたことから出版を決めた。
執筆期間は約2年。「印象的なエピソードは、頭の中でスライドショーのように色や音、匂いがよみがえる。それを写真のト書きを書くように丁寧につづった」という。「当時の自分を思い出しながら、嫌な記憶もつらい思いでも、泣いていた過去の自分にも向き合うことで、全部いいことだったと新たなラベルを貼り直していくことができた。途中、書けなくなることもあった。私の話に何の意味があるのか、誰に読んでもらえるのかと弱気になったこともある。私の経験を、読者の人生と重ね合わせて読んでもらえれば」
4月27日、「つづきの絵本屋」(倉敷市川入)でサイン会を開くほか、北海道、東京、大阪、山口、香川でもトークイベントを予定している。