
細見博子さんと川埜龍三さんによる二人展「龗(おかみ)の宴(うたげ)~はじまりの唄」が現在、「青龍山・松琴寺(しょうきんじ)」(岡山市中区門田本町4)で開かれている。
松琴寺は1345年ごろに創建された妙心寺派臨済宗の禅寺で、児島の瑜伽(ゆが)大権現から分祀(ぶんし)された分社がある。庫裡(くり)、庭、本堂、坐(ざ)禅堂とその階段や渡り廊下などを広く展示スペースとしている。
大阪出身の細見さんは、錫合金とガラスを使った作品を制作。錫は型に流し込まず、溶かして、貼り付け、削ることで作り上げる作風が特徴。2006(平成18)年から8年間、犬島で開催される「犬島時間」で野外アート作品を作り始める。
岡山県笠岡市在住の川埜さんは2013(平成25)年、陶板タイルを貼った5メートルを超える「犬」を犬島に設置するほか、足を抱えて顔を埋める鬼の姿の「おにぽっくる」など立体作品や平面作品を制作する。
昨年、細見さんが個展を開くのにいい場所があると同寺を紹介。夏頃、どうせやるなら一緒にやろうと二人展になったという。12月には6点の共同作品の制作を始めた。
川埜さんが作ったベースとなる作品に、細見さんが作品を加えて返す。オンラインで確認しながら、接合などを行い、川埜さんが着色をして完成させる。6点は、川埜さんの3種の造形物に2パターンずつ細見さんが作品を返して作られた。
細見さんは「1つ目より2つ目は、よりアイデアを練った。川埜さんの作品は詩的で、じっと見ていると物語が見えてくる作品ばかり。いつもと違うインスピレーショが湧いてくることが楽しく、完成した時の喜びが大きかった」と話す。
川埜さんは「立体作品で共作は初めて。素材の違う2人だからこそ、どうなるか分からず、面白かった。なるべく隙間のある、作り込まないベース作品を渡すと、想像しなかったものが返ってくるのが楽しかった」と振り返る。
このほか、細見さんはカエルとウサギが相撲を取る「鳥獣戯画」を元にした立体作品などの新作と、これまでの作品も展示。川埜さんは2000(平成12)年ごろの作品から場所に合った作品を展示する。
開催時間は11時~17時。観覧無料。4月14日まで。