岡山市職員の流尾正亮さんが3月7日、2作目のエッセー本「葡萄(ぶどう)日記」を吉備人出版(岡山市北区丸の内2)から出版した。
流尾さんは、民間企業から転職して2013(平成25)年に岡山市に入職。文化振興課でユネスコ創造都市ネットワーク「文学創造都市おかやま」を担当し、2023年に岡山市は認定を受けた。文学での認定は日本初で、世界で63都市が加盟している。2024年には大学時代のアイルランドなど留学日記を書籍化した「シャムロックをさがして」を出版している。
同書は、2021年に林ぶどう研究所の林慎吾さんとボルドー大学で醸造を学び実践してきた醸造家の大岡弘武さんが設立した「おかやま葡萄(ぶどう)酒園」に入会した流尾さんが、耕作放棄地だった場所を、草刈りから収穫までブドウ畑にしていく過程をつづった栽培日記。朝早くから草刈りをして近隣住民に怒られた話や3年目に初めてブドウが収穫でき13本のワインができたことなど、約500平方メートルの農園内での出来事をつづっている。
表紙は、ブドウ畑の砂などを使った立体的なテクスチャーアートを制作する北川理沙さんがワインボトルのラベル用に描いた絵を、吉田麻代さんの額装に入れた写真を採用。ワイン名は、「耕作放棄地を再生する」「農作業をしてブドウの味がなることが畑の返事」などREと流尾さんのレオをかけ合わせて、「RE:O(レオ)」と名付けた。現在は販売していないが、複業申請をして酒販免許を取るなどして、今後、販売する予定。
流尾さんは「文学創造都市おかやまの担当になり、どんなサポートをすればいいかを考えた時、自分の本を出版して書く側に立ってみることにした。読んでくれた人からの感想がうれしくて、また書きたくなった。書き手、編集者、出版社、書店など、書籍に関わる人たち、特に作家の文章にこれまで以上のリスペクトと本を読む楽しさが深まった」と話す。
3月3日には、昨年9月にスロベニアの首都リュブリャナで開かれたユネスコ創造都市会議に出席した流尾さんと児童文学作家の村中李衣さんが、期間中、共にエッセーを書くエッセーマラソンを書籍化した「We Speak Literature in Ljubjana(リュブリャナ・エッセーマラソン)」を出版した。
流尾さんは「会議期間中は、ノルウェーの首都リレハンメル、サウジアラビアの首都タイフと共に次回の開催地を巡って岡山市としてプレゼンテーションし、来年は岡山市で開催する選んでもらえた。この他に地域ごとの取り組みを発表するなど、会議や視察、歓迎会など慌ただしいスケジュールの中で睡眠時間を削って書いた。AIを審査員として、2人のエッセーに勝敗をつける試みも行った」という。
流尾さんは「売れることもうれしいが、何より読んでくれたこと、届いたことがとってもうれしい。私のことを知ってもらえる強いツールとなる。ここ数年で、おかやまZINEスタジアムやフリーマガジン『うったて』など、文章を書きたい人が多くいることが分かった。書籍を作る人が増えて、文学がまちに溶け込んでいくと面白いと思う」とも。
葡萄日記は1,100円。村中さんとの共著も併せて、岡山市内の丸善、紀伊國屋書店、未来屋書店、喜久屋書店、セルバ、宮脇書店などで扱う。