岡山県瀬戸内市長船(おさふね)にある妙興寺(瀬戸内市長船町福岡)の門前通りである市場小路・西小路と一文字北側広場で4月23日、「備前福岡の大市」が開かれる。
鎌倉時代に始まった定期市に由来する「備前福岡の市」。日本史の教科書に掲載される「一遍上人絵伝」に「福岡の市」が描かれ、刀剣や備前焼が取り扱われていたことが分かる。吉井川の水運と山陽道の陸運が交わる要衝で、室町時代には常設市に発展し、備前福岡は西国で最大級の商都として栄えた。
約700年後の2006年3月、同市は現代版として再生した。出店者会の大倉秀千代さんは「1993年に東京から地元に戻ったら若い人が少なく寂しかった。中世に栄えた市のにぎわいを再現できたらと思い、約10年間かけて地元の協力を得て市をスタートできた」と話す。毎月第4日曜を定期市とし、4月・11月は年2回の出店者も参加して「大市」として開催。今回で134回目を迎える。
同市は約60店が参加。野菜、合がも米、みそ、木工品、備前焼など、瀬戸内市を中心とした特産品を販売する。食べ物横丁では、長船の郷土料理で炊き込みご飯に酢を混ぜた煮込みずし「どどめせ」、雑魚のミンチのフライを使った「うしまど魚ギョッとサンド」などを提供。大倉さんは「食べることから農業と地域社会がつながる。市で生産者に会って地元の物に愛着を持ってもらえたら」と話す。
同市の「名物」である「刀鍛冶の包丁研ぎ」として、日本刀匠会の川島一城(かずき)さんが参加する。大市では鍛冶2人で約80本の包丁を研ぐ。川島さんは「備前福岡の市には刀鍛冶が欠かせないからと大倉さんに呼ばれたのがきっかけ。買い物客との出会いは毎回楽しみ。切れ味の良い包丁を使えば料理が楽しくなり、よりおいしい食事ができるよう願って丁寧に研いでいる」と話す。
開催時間は8時~14時。雨天決行。