岡山出身の詩人・永瀬清子の生家を保存・改修プロジェクトが現在、行われている。
永瀬清子は1906(明治39)年、岡山県赤磐郡豊田村に生まれ、1945(昭和20)年に戦火を逃れて、岡山県赤磐市にある生家に戻った。1988(昭和63)年、代表作「あけがたにくる人よ」を皇后陛下時代の美智子さまが英訳、1991(平成3)年には、敗戦の日本に寄り添うように詠まれた作品「降りつむ」を英詩朗読した。
2013(平成25)年にNPO法人永瀬清子生家保存会が設立され、2017(平成29)年10月に生家・母屋と井戸が国の登録有形文化財に登録。隣接する土蔵は、同年解体された。
今回は、まだ手付かずとなっている、釜屋と清子の母が暮らしていた離れの改修を計画する。窯屋の屋根は現在、ブルーシートがかかり、瓦の吹き替えなどが必要な状態となっている。
同NPO代表理事の横田都志子さんは「現代詩の母と呼ばれる詩人・永瀬清子の生家を残し、『詩作の聖地』としたい。約40年の間、ハンセン病の国立療養所長島愛生園へ通い、詩を教えていた。詩は絶望から生まれてくる。清子の詩が多くの人を励ましてきた」と話す。
「改修は、永瀬清子が今にも現れそうな空間にしたい。きれいに残された展示の場ではなく、今もそこで暮らしているかのように生家を残すことによって、辛い思いをした人や絶望の縁に立った人をまた励ましてほしい」とも。
永瀬清子の月命日である17日には、毎月そうじをした後に朗読会を開いている。以前は母屋を使って詩を書くワークショップも行っていた。
同NPOでは現在、クラウドファンディングを通じ生家の保存・改修プロジェクト支援者を募集している。目標額は250万円。4月24日まで。