「一文字うどん」(瀬戸内市長船町福岡)が4月4日、ウェブサイトから冷凍うどんと鴨肉の販売を始めた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、来店する客が減ったことから、これまで店頭でしか販売していなかった2品をウェブサイトで販売を始めた。同店では、ふくほのか小麦としらさぎ小麦の2種類を自らの畑と提携農家が育て、うどんを提供している。同商品は、ふくほのか小麦を石臼で2度びきし、皮に近い部分まで使っていることから、うどんの色は真っ白ではなく少し黒い色をしている。
同店は、1982(昭和57)年に材木店を営んでいた初代店主が、セルフうどん店として開業した。セルフうどん店とは、うどんの量を選び、客自らが湯だめにざるにうどんを入れて湯通しして温め、だし、天ぷらやネギ、かつおなどを入れテーブルに運び食べるシステム。オープン当時は100円で提供していた。同システムの全国チェーンうどん店も登場している。
2代目店主が1997(平成9)年に石臼を導入した。石臼での製粉は、通常のスピードが遅く高い温度の熱を持たない。2度びきをすることで胚芽や表皮も含まれていることから、味や風味が残り、ビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれているという。
1956(昭和31)年に作られた日本独自の小麦「しらさぎ」を、1995(平成7)年から無農薬で栽培している。しらさぎ小麦を使ったうどんは、注文を受けてから手打ちしてゆで上げる。
秋から春にかけて小麦を育て、夏から秋には米を育てている。稲作にも農薬を使いたくないという思いから、合鴨農法をスタート。その後、玄米、小麦、大豆、ヒエ、アワを餌とした五穀カモを、年間約500羽を育てて、かも南蛮うどんの提供やかも肉を店頭で販売するようになった。
3代目店主の大倉剛生(たけお)さんは「作り方にこだわりを持ち、この地の大地と水でできたうどんをセルフうどんという庶民的なお店で提供することに誇りを持っていた。初めの約5年間は、安定せず、客が離れることもあった。こだわり以上においしいを届けることの大切さを、学ばせてもらった。今回の新型コロナウイルスで客足が乏しくなったが、家庭においしいを届けたいという思いを実現させたい」と話す。
冷凍・一文字うどんは2,000円(5食入り)、五穀鴨肉セット500グラム(4,500円)。そのほか、2種の小麦粉も販売している。