創業45年を迎える老舗純喫茶「コーヒールームキャッスル」(岡山市北区中山下1、TEL 086-222-7197)の店内には、合計7つもの水槽が左右の壁を覆っている。その一つ一つには色鮮やかな熱帯魚を中心に金魚、ザリガニ、スッポン、ナマズなどが悠々と泳いでいる。
お客から譲られた、本当は食べられてしまうはずだった「ナマズ」も今では人気者
店主の野田さん(69歳)は23歳で脱サラ、趣味が高じて熱帯魚店を始め、それと並行して喫茶店も営み始めた。創業当時は店の前を、馬車が電柱などの荷物を積んで歩く姿も珍しくない時代。店の周りにはビルなど一つも無かったという。若くして夫婦で営み始めた喫茶店は、大勢の客で賑(にぎ)わったという。
最盛期には店の前の通りにも喫茶店がいくつも並んでいたが、20年ほど前あたりから、だんだんと店を閉じる商店、会社が増え、なじみ客の数も減ってきたという。「最近のコンビニコーヒーや、オフィスでも気軽に楽しめるドリップコーヒーなど、コーヒーを取り巻く環境も様変わりした」と野田さん。
現在の常連客は、周辺の企業の経営者や商店主が多い。「わが家のような居心地の良さ、気軽な会話、気を遣わない場所だからいいんじゃないの」と奥さん。コーヒーは1杯350円。
昔ながらのレトロな純喫茶、そして水族館を思わせる涼しさを感じる空間様は、流行(はや)りのカフェとは一線を画した独特の雰囲気。
席数は約40席。営業時間は8時~18時。