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岡山県立大チームが国際コンペの最優秀賞 日常から使う木材で作る災害ユニット

(左から)岡山県立大学デザイン学部建築学科の助教畠和宏さんと大学院生の小林弘樹さん

(左から)岡山県立大学デザイン学部建築学科の助教畠和宏さんと大学院生の小林弘樹さん

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 岡山県立大学デザイン学部建築学科の助教畠和宏さんらのチームが1月22日、「キュービクル・最低限のシェルター空間国際コンペ」で最優秀賞を受賞した。

受賞作品「ふだん木のまち」1

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 同コンペティションは、防災と災害復興支援活動を行う建築専門の一般社団法人ヒトレン(宮城県仙台市)が初開催した。53の国と地域から115作品の応募があり、8作品を最終審査した。

 募集要件は、災害時の避難所で幅2メートル・奥行き2メートル・高さ2メートルの1人分の個人空間。想定する場所は学校の体育館で、使用期間は10日以上とした。材料は日本国内で入手可能で、3万円以内で作れるもの。最終選考に選ばれた作品は、仙台で実際に組み立てることも要件とした。

 審査員は、「クライン・ダイサム・アーキテクツ」(東京都渋谷区)のアストリッド・クラインさん、「石巻市社会福祉協議会」(石巻市)の阿部由紀さん、「今野梱包」(同)社長の今野英樹さん、早稲田大学准教授で都市研究者のディマ・クリスティアンさん、東北大学災害科学国際研究所のリズ・マリーさんが務めた。

 受賞作品は「ふだん木のまち~日常時から災害時までフレキシブルに活用できる組み木システムの提案~」。大学院生の小林弘樹さん、田中智さん、昨年度卒業した河田達希さんの4人のメンバーで立案・制作した。

 原案となったのは、河田さんが卒業設計で使った組み木システム。厚さ3センチ・幅9センチの木製材の先を、ロの字型とH型に加工し、連結して誰でも簡単に組み立てられるユニットを製作。知恵の輪のように遊ぶウッドパズルの玩具を参考に組み木を考えたという。

 3種類の部材を11本使うことで、2メートル角の空間を作ることができる。部材は金具を使わず止めることができ、大人2人が2分30秒ほどで完成させることができる。

 部材を使って棚やベンチ、屋台、立て掛けて建築意匠とすることもできるのが特徴。普段の生活から使っているものが、非常時に避難所生活のユニットとして使える利点は、特別に保管しておく必要もなく、普段から使っているものなので使用方法も分かり、メンテナンスも不要となることだという。

 部材は、全国でもっとも手に入りやすいと言われる杉の木を使い、避難所では木の香りもストレスの軽減となる可能性もある。試作では、真庭市の木材を勝山木材市場で製材したものを「Fab Space Shinjo」(新庄村)で加工した。

 畠さんは平成30年7月豪雨で被災した総社市に、東日本大震災で被災した福島県いわき市で使われた木造の仮設住宅を移築した経験があり、以前から災害時に使える木材の備蓄方法を考えていたという。その後、河田さんの卒業設計やその発想を生かして行った津山市・旧東幼稚園のリノベーションプロジェクト「sense TSUYAMA」(津山市)内の一部のインテリアなどの製作から発展して同作品が生まれた。

 畠さんは「空間の提案より、日常から使える非常時ストックの提案とした。コンペに終わらず、実際に普段からこのシステムを使うまちの取り組みとなることを期待している」と話す。

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