岡山の住宅設計施工会社「ミナモト建築工房」の新社屋「くらしのたねビル」(岡山市北区辰巳)が1月に完成し、自然を生かした造りが話題を呼んでいる。
創業23年目を迎える同社。これまでのコンセプトを表現する「ショールームを兼ね備えた建物を」と、構想から1年かけて完成。通りに面した一角にカワニナやホタルなど自然のままの生態系を育むビオトープを、駐車場横に生ゴミコンポストと菜園、地下水をくみ上げる井戸を設置し、駐車場や屋上、壁面緑化でヒートアイランドの緩和に貢献するなど、「自然の力を生かす提案を多く取り入れた」という。
建物内は1階が板張りの多目的スペースで一般に開放しており、今後は不定期でヨガや太極拳など体験教室や展示会などを開く。2階は不動産紹介コーナーや顧客とのミーティングルーム。3階はオフィスだが、風車や雨水タンクを設置した屋上庭園が広がり、自由に見学できる。
これまでも同社が行ってきた取り組みの一つ、建築中の現場で出た廃材を地域の人たちが自由に持ち帰ることができる「残材置き場」を敷地内に設置。販売用見本でもある井戸やビオトープは、誰でも気軽に触れられるオープンな場所に設置することで地域交流の場としての活用も目的としている。
子どものころから自然や命の営みに敏感だったという青江源家(げんや)社長(65)は「地球環境や自然のおかげで生きていることを感じ楽しみながら生活する、それこそ本当の幸せ。住まいへの取り入れ方を具体的に実際に造って見せた」と話す。「今自分たちにできることを一つずつ実行することで、地球の豊かな自然を後世に残す手助けになれば」とも。