備前焼作家・木村肇さんの個展「台器ト成リ」が7月12日、「2-16(ニノジュウロク)」(岡山市北区富田町2)で始まった。
木村さんは、祖父の木村一陽さんが創設した「一陽窯」を引き継ぐ備前焼作家。これまでほとんど個展を開いてこなかった木村さんだったが、木村さんの作品を5年以上前から撮影し、信頼する写真家の加藤晋平さんが運営する同ギャラリーで展示することにした。
展示作品は半径10センチ、高さ20センチの筒状の台。大きさや微妙な形状はあえて統一していない。ベッドのそばに置いてアクセサリー・指輪置きに、玄関に置いて鍵置きにするなどを想定している。台の天地を返すと筒の中は空洞になっており、花瓶となる。
「備前焼の特徴を生かし日常的に使うものとして使い心地がよく、美しい形状のものを作りたい」という木村さん。硬いという特徴を生かし作ったすり鉢は、子どもに離乳食を作る際に考案したという。水瓶など貯蔵に適している特徴を生かし、名刀味噌(みそ)本舗(瀬戸内市)と考案したフードコンテナなどがある。
同作品を作るきっかけは、すし店からすしをのせる器の依頼を受けたこと。同作品より高さは少し低めだが、器としては高さがあるものだった。
木村さんは「作品には、土のどっしりした感じがあり、台の上に載せるものへの愛情や大切に思う気持ちも生まれる。台としても花瓶としてもどちらも表として丁寧に作った。使い方によって表情が変わる作品で、何を置くか、どんな花を生けるか、どこに置くかなど楽しんでもらえれば」と話す。
開催時間は13時~18時。今月19日まで。