映画「千年の愉楽」上映中の「シネマ・クレール」(岡山市北区丸の内1、TEL 086-231-0019)で4月13日午後、主演の佐野史郎さん、高岡蒼佑さんが舞台あいさつを行った。
昨年10月に亡くなった若松孝二監督の遺作となる同作品について、2人がキャスティングされた経緯や、撮影中のエピソード、撮影後に亡くなった監督への途切れることのない思いを、それぞれ熱く語った。「台本なんか信じるな、現場に行けば言葉だって変わる」が口癖だったという監督。アドリブの演技を喜び、厳しくも甘えさせてくれる人物だったという。
「ツイッターやブログで映画を宣伝してくれるなら写真取り放題」の言葉に、観客のほぼ全員がカメラや携帯で2人を撮影。ファンからの踏み込んだ質問に佐野さんがたじろぐ姿も見られた。
各地の映画館で同作上映に合わせ、若松監督の友人で画家の黒田征太郎さんが描いた今回の映画のポスター展示とオークションも行っている。得られた資金は若松プロにある旧作のデジタル化と、単館系の映画館が次々とつぶれて行く現状を嘆いていた監督の遺志を継ぎ、各地のミニシアターへの助成金として使うという。同館でも4月6日~19日、ロビーに展示し入札を受け付けた。
シネマ・クレール浜田高夫社長は「うちでは舞台あいさつの後、お客さんと会話をしていただくことを基本としている。本来、映画を見る作業は、見る本人がどのように解釈しどのように感じるかというのが一番大事だが、普段会えない俳優や監督、映画関係人とその映画にまつわる話をするのは刺激になり映画の見方も変わるかもしれない。そうした機会は非常にいいものだと思ってやっている」と話す。