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岡山県天神山文化プラザで「潮嘉子展」 103回目の天プラ・セレクション

日本画家の潮嘉子さん

日本画家の潮嘉子さん

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 103回目の「天プラ・セレクション」となる「潮嘉子(うしおかこ)展~胡蝶之夢~」が2月6日、岡山県天神山文化プラザ(岡山市北区天神町)で始まった。

潮嘉子さんの作品1

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 天プラ・セレクションは同館が主催する個展で、2006(平成18)年に始まった。推薦された岡山にゆかりのある作家のプラス部門と、全国から一般公募された作家のうち審査会で選ばれた作家のクロス部門の2部門があり、年間3人ほどの個展を企画する。今回は、クロス部門の個展。

 画家の潮さんは鳥取県生まれで、倉敷芸術科学大学大学院を卒業後、現在は同大芸術研究科研究生として在籍している。幼い頃から茶道や花道を習い、高校では弓道をしていたが、大学に入学するまで絵を描いたことはなかった。絵を学びたいと直感的に思った潮さんは、3年生まではファッションに興味があり金魚をテーマにしたドレスを作ったこともあった。

 3年生で伊藤若冲の花鳥画に魅せられ、模写を始めた。若冲を学ぶにつれ、日本画技法などはそのままに、「現代を生きる私にしか描けない作品」考え始める。花鳥画は自然のありのままの姿を再現することが多いが、潮さんの作品は空を金魚が泳ぎ、牡丹(ぼたん)の花だけが入道雲のように密集した姿を描く。同展では大学卒業後からの約3年間に制作した約30点を公開する。

 「倉敷屏風(びょうぶ)まつり」への出展をきっかけに、屏風を自作するようになる。構造などを学んだことから縦長に屏風を開き天井から吊るした作品や、室町時代から江戸時代にかけて作られた着物の生地を屏風に貼り付ける「誰が袖図屛風」を進化させたデニムを屏風に埋め込んだ作品も展示。

 寝ている間に見た「夢」をテーマにした作品は大学卒業制作として発表。いくつかの賞を受賞するが、やりきれなかった思いから、リベンジの思いを持ちつつ、年に一度のペースで制作に当たった。どの作品も同様に金魚、孔雀、牡丹がモチーフとして描かれている。空を飛ぶクジャク、紺地に白く光るクジャク、色鮮やかな花に囲まれたクジャクなどを展示。

 潮さんは「日本画は絹や和紙に岩絵具を膠(にかわ)に溶かして絵の具を作る。乾くまで色が重ねられないので、時間もかかる。一方、絹の光の当たり方で変わる光沢や岩絵具の繊細な輝きなど、美しい部分がたくさんある。絹の裏側に箔を貼って表情をつけるなど伝統的なことも生かしながら、新たな挑戦もやってみる。好きだから学ぶことも楽しいし、好きだから挑戦したくなる」と話す。

 展示室2階には、デニム生地に描いた金魚の作品を展示。平面の作品、デニムパンツに描かれた作品、紐で吊るされた球体に描かれた作品、ウサギのぬいぐるみに描かれた作品などさまざま。「屏風絵は平面絵画だが、山型に立てることにより立体に感じさせる。立体感を作り出すために、立体物にも金魚を描く挑戦をした」とも。

 開館時間は10時~17時。観覧無料。今月11日まで。

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