「文化財の活用と維持~遺していくための伝統技術~」と題した講演会が6月22日、岡山国際交流センター(岡山市北区奉還町2)で開かれる。
主催は、新東住建工業(岡山市中区円山)で、吉備津彦神社や備前国総社宮拝殿などの寺社仏閣や住宅など文化財の保存修理を宮大工として手がける芥川英祐さんが代表を務める一般社団法人「勧進プロジェクト」。以前から瓦職人、板金屋、左官、大工などが集まって情報交換していたが、どの職人も後継者不足を課題に感じていたことから、文化財を保存活用するためにも、関わる職人の育成とその必要性を広く知ってもらうために2020年、同団体を設立した。
当日は、寺社仏閣など文化財の漆(うるし)塗りや彩色などを行う「小西美術工芸社」(東京都港区芝)社長のデービッド・アトキンソンさんが基調講演を行う。アトキンソンさんは、ゴールドマン・サックス証券 金融調査室長を務め、2009(平成21)年に同社に入社。
芥川さんは「文化財の調査に入れば、使われている木や土などの材料・工法などから、時代背景や地域の文化、暮らしぶりまで見えてくる。現在は、旧大國家住宅(和気町)の修復にも携わり、7月6日・7日に見学会も行う。県内だけでも、57個の国指定重要文化財・建造物があるが、文化財の価値を理解し、調査し、修復し、保存できる職人がいなければ、多くの価値あるものが継承できない可能性がある。アトキンソンさんは、海外の文化財活用など幅広い知見を持っている。修復・保存した後の活用まで考え方を広げて議論できる土壌を作りたい」と話す。
後半は、同団体の石田篤史さんがコーディネーターを務め、文化財建造物保存技術協会常務理事で日光東照宮・ニ荒山神社の保存修理、厳島神社の災害復旧などに携わった稲葉敦さん、元文化庁主任文化財調査官で岡山理科大学建築歴史文化研究センター客員教授の江面嗣人さん、国指定重要文化財・旧野﨑家住宅を所有するナイカイ塩業の野﨑泰彦社長が登壇してパネルディスカッションを行う。
開催時間は13時30分~16時。