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解体中の岡山市民会館、アーカイブ写真公開 屋上からの景色など100点

写真家の白井崇裕さん

写真家の白井崇裕さん

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 写真家の白井崇裕さんが撮影した岡山市民会館の記録写真が現在、岡山市のウェブサイトで公開されている。

写真家の白井崇裕さん2

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 同館は1963(昭和38)年に完成。当時、建築音響学や公会堂の第一人者と呼ばれた佐藤武夫が設計した初期の建築。直径42メートルの正八角形の大ホール棟と10部屋の会議室棟で構成する。大ホールは地上4階・地下1階の1718席(1階=782席、2階=936席)。ホワイエには、日本画家・吉岡堅ニの巨大レリーフ作品「牧神」、2階には岩淵活輝がデザインした赤・青・黄色・緑・オレンジなどのモザイクガラスを設置していた。

 2022年、20世紀の建築潮流のモダン・ムーブメントの歴史的・文化的重要性を認識し、記録、保存を訴えるための非営利団体「Docomomo Japan(ドコモモジャパン)」に同館が認定された。同団体によると、同館と以前立っていたNHK会館、山陽放送会館で囲まれたエリアに噴水を中心とした石畳の広場を作り、ヨーロッパの都市にある都市広場を文化芸術の中心として実現したという。

 昨年3月で閉館し、8月には360度カメラで定点撮影した写真を元にしてVRコンテンツを公開した。その後、11月に解体工事が始まり、来年2月まで続く予定。

 写真家の白井さんは中学生の時、祖父にデビューしたばかりの新幹線を病院の屋上から撮影したことから写真を撮るようになったという。17歳で仕事として撮影するようになり、雑誌や鉄道会社のポスターなど列車の写真を専門に撮影し、現在は結婚式の前撮りや神社や日の出の写真など幅広く活動している。

 多くの人から閉館や解体を悲しむ声を聞いた白井さんは、写真家としてできることとして、アーカイブを残すことを岡山市に提案。昨年5月に撮影を行った。「小学生の時、合唱コンクールなどで来たのを覚えている。館内には平和都市宣言が掲げられていて、戦後以降の平和への祈りも建物に残されていた。屋上から見る景色はもう二度と見ることはできない。解体は始まったが、全てがなくなってしまうのではなく、作った時の思いや市民の思い出を閉じ込めておくアーカイブになってほしい」と思いを込める。

 白井さんは約500枚の写真を撮影し、そのうち約100枚をウェブで限定公開している。

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