
作家・森まゆみさんの講演会「まちづくりの楽しみ方~身近にある心の文化財~」が6月21日、岡山県立図書館(岡山市北区丸の内2)で開かれた。
作家・森まゆみさんの講演会「まちづくりの楽しみ方~身近にある心の文化財~」の様子
主催する岡山県建築士会のヘリテージマネジャー委員会は、岡山県内の歴史文化遺産を発見、活用し、地域づくりに生かすことを目的としている。同講演会は、7月にスタートする「第5回岡山ヘリテージサポーター養成講座」のキックオフイベントとして開いた。
森さんは1984(昭和59)年、実妹ら3人で、地域の人から「聞き書き」の手法を用いた編集方針で地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を刊行。ノンフィクション作家やエッセイストとしての著作もあり、1999(平成11)年には「地域文化に視座をおいたまちづくり活動および現実の都市づくりに対する提言」で日本建築学会文化賞を受賞している。
森さんは当時、「どこでよく遊んでいたか」「どんなものを食べていたか」「この道は何と呼ばれていましたか」などを聞き、カセットテープに録音して編集していったという。「記憶を記録する雑誌を約25年間続けてきた。1996(平成8)年に登録有形文化財の制度ができ、昔の生活の残る長屋や遊郭があった場所など保存運動をした。バブル期には取り壊されそうになっていた平和地蔵を反対して守ったり、東京駅の取り壊し反対活動を行ったりもした」と振り返る。
「古い建物を残していくには、建築士会の専門的な知識や案内も必要だが、市民の人が入れる違う入り口を作ってほしい。歌を歌い人にコンサートを開いてもらうなど、関わる人が増えると、この場所を残したいという声が集まっていく」とも。