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岡山の農園で農業セラピー実証実験 日本初の試み、順天堂大やヤンマーなどと連携

洋ランのアレンジメントに挑戦する岡山市地域おこし協力隊の宮嶋さん

洋ランのアレンジメントに挑戦する岡山市地域おこし協力隊の宮嶋さん

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 洋ランやフルーツの生産販売を手掛ける農園スコレー(岡山市北区御津吉尾、TEL 0867-24-4390)で3月20日、農作業がストレスに及ぼす影響を医学的に測定する試みが国内で初めて実施された。

スコレー農園には色鮮やかな洋ランが咲き誇る

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 この農業セラピーの実証実験は、同園をはじめとする岡山県内の農業生産者と順天堂大学、近畿大学、ヤンマーなどが連携して展開。20日に行われた調査には、普段植物に触れる機会の少ない会社員や学生ら約20人が参加し、洋ランの仕立て作業やアレンジメントを体験した。

 作業の合間に唾液を数回採取して、ストレス・チェックの指標として使われているメラトニン、コルチゾール、免疫グロブリン、αアミラーゼの量を分析。花によるストレス軽減や心の満足度を数値化する。この日収集したデータは、現在解析中で、順天堂大の論文発表後に公開される予定。

 福祉と農業を結びつける取り組みを行っている近畿大学農学部の池上甲一教授は「今後も農業生産者と医療関係者が共同でデータを収集し、医療保険の適用を実現させたい。農業セラピーが企業などの福利厚生として行われるようになれば、農村に新たな医療ビジネスを生み出すだけでなく、都市農村交流の実現や、農村への人のつながりが醸成される効果も期待できる」と話す。

 岡山市地域おこし協力隊のメンバーで、当日はスタッフの役割を果たしながら実験にも参加した宮嶋泰明さんは「今回の実験を通じて自然に触れるなど、農作業を行うことでストレスが緩和されることが分かれば、中山間地域や農業生産者の新たな役割の可能性が広がる。御津地区が地域セラピーの先進地としての役割を担えるよう、これからも地域と連携していきたい」と話す。

 同園の大内盛勢取締役は「実験では、参加者に仕立てやアレンジをどう楽しんでもらうかを伝えたが、私自身も一緒に楽しむことが大切だと感じた。喜びを感じていただくには、まだまだこちら側の準備も必要だと感じ、改善点なども見つかったので、次につなげていきたい」と話す。

 複数の大学や企業との情報交換や研修など具体的な動きも出てきているという。

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