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岡山・備中神楽を身近に触れるプログラム 地域のつながり、郷土芸能から

備中神楽稽古場で扇子と御幣を持つNPO法人「吉備野工房ちみち」の今野友紀さんと相賀敏弘さん

備中神楽稽古場で扇子と御幣を持つNPO法人「吉備野工房ちみち」の今野友紀さんと相賀敏弘さん

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 NPO法人「吉備野工房ちみち」(総社市三須)が現在、「備中神楽(かぐら)」に触れるプログラムを開発している。

神楽稽古場に吊るされた「千道(ちみち)」

 同団体は、所在する吉備の歴史や文化や自然を生かしたまちづくりを目的として、2007年に発足した。同団体事務所の西には、5世紀中ごろに築造したとされる作山古墳、東には奈良時代に聖武天皇が建立した国分寺がある。以前同じ敷地に、神楽面の作家が住んでいたこともあり、神楽稽古場も隣接している。

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 「備中神楽」は、古事記や日本書記の場面を演じる舞い。これまでは主に神社で祭りの時に演じられること多かった。プロジェクト担当者の今野友紀さんは「地元の人でも約5割の人は見たことがない。年配の人でも子どもの頃に見たことあるが意味はほとんど知らないという人が多い」と話す。他の神楽では見ることのできない桃太郎(吉備津彦命)が登場する「吉備津の能」や、能で舞うこととの多い「玉藻(たまも)の前」なども備中神楽の特徴だという。

 プロジェクトでは、「初めての方向けプログラム」「子ども向けプログラム」を開発するほか、約50あると言われている社中や演者数、演目などの情報を整理する。1月13日には「備中神楽のいろは」と題して、神楽の鑑賞や起源の紹介、御幣作りワークショップなどを行った。子ども約10人を含め約45人が参加した。

 今野さんは2017年に岡山に移住。備中神楽に魅せられて、女人禁制とされている神楽の演者を志願した。今も毎週の稽古を続けている。「発信していると興味を持ってくれる人は多い。演者の人数も少しずつ増えている。高齢化しているので若い演者も募集している」とも。

 「平成30年7月豪雨で、地域のコミュニティーの大切さを切実に感じた。大切なことは分かっていても、コミュニティーを強くする手段を多くの人は持っていない。幼少期に親しんだ新潟県阿賀野市『水原祭り』で、祭りが地域コミュニティーを強くしていることを思い出した。祭りや神事、郷土芸能など、子どもからお年寄りまでが一緒に関わることで、その役割を果たせる」と期待を寄せる。

 現在、クラウドファンディングサイト「モーションギャラリー」で資金提供を募っている。3月15日まで。