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岡山・新型コロナウイルスの影響で「ビッグイシュー」通信販売 ホームレス支援に

岡山で雑誌「ビッグイシュー」の販売員をするコタニさん

岡山で雑誌「ビッグイシュー」の販売員をするコタニさん

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 ホームレスの自立支援を応援する雑誌「ビッグイッシュー」が4月9日、新型コロナウイルス対策として「コロナ緊急3カ月通信販売」を始めた。

ビッグイシューの販売員に新型コロナウイルス感染拡大を受けて、配布された特製マスク

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 同誌は、1991年ロンドンで生まれ、2003(平成15)年に日本でスタートした。ホームレスなどに雑誌を販売する仕事を提供することで経済的自立を応援している。販売者は、450円で販売される雑誌を220円で購入し路上販売する。現在、販売者は約100人。岡山県内の販売員は1人だけ。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月7日に政府が緊急事態宣言を出し、16日にはその範囲を全国に広げた。路上販売をする同誌の販売者にも影響が出ることから、3カ月限定の通信販売をスタートした。3カ月分・6冊の雑誌を購入することで、1人当たり4万6,000円の現金給付を想定している。

 岡山で販売員をするコタニさんは、岐阜県生まれ。IT企業に就職し20年以上システムエンジニアとして働いていた。母の介護のため仕事を辞めることになり経済的に苦しくなったという。2011(平成23)年から約1年半、徳島県でホームレス生活をしていた。「持っていたお金が尽きて、死ぬのを待っているだけの生活をしたが、助けてくれる人もいた。働き先を見つけ、試みたこともあったが、ご縁に恵まれて岡山に来ることになった」と話す。ホームレス支援を行うNPO法人「岡山ホームレス支援きずな」(岡山市北区中山下1)に出会い、岡山で2013(平成25)年3月から同誌の販売員となった。

 現在は、百貨店・天満屋岡山店(岡山市北区表町2)の北隣にある表町商店街アリスの広場周辺で同誌を販売している。販売員となってからは、ホームレスではなくなった。「雑誌を定期購入してくれる人たちへ届け続けたいという思いから、販売を続けている。平成30年7月豪雨をきっかけに始めた派遣バイトで、生計を安定させられるようになった。商店街に立っていると、約150人の人が、顔見知りになり、あいさつをしてくれる人もいる」とも。

 読書会「コタニさんとビッグイシューを読む会」(現在休止中)を共同主催している。同誌には、ホームレス問題だけでなく、日本国内、世界のあらゆる社会問題についての記事を掲載している。「ビッグイッシューを読むきっかけとしてもらえればうれしい」と話す。

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