岡山県天神山文化プラザ(岡山市北区天神町)のホームページで現在、「ヴァーチャルTEN・COLLE2020」が開催されている。
岡山県天神山文化プラザの収蔵作品約170点の中から、「絵画・彫刻」の部屋と「書」の部屋に分け、「郷土の自然と人」をテーマに10作品を紹介する同展。同施設では10年以上前から「テン・コレ」を開催してきたが、バーチャル展示会の試みは今回が初めて。
倉敷芸術科学大学メディア映像学科教授の中川浩一さんのアイデアで、360度カメラを使いバーチャルリアリティーの世界で企画展を開くことにした。新型コロナウイルスの感染拡大により同施設の展覧会は3月以降中止となり、何かバックアップする手だてはないかと中川さんに相談したことが企画のきっかけという。
展示では、画面上に現れる「i」マークをクリックすることで作品を拡大して見ることができる。上矢印マークをクリックすると、アニメーターの山下真未さんが制作した、同館キャラクター「テンコちゃん」が解説するアニメーション動画を見ることができる。
最初の部屋には、中央に蛭田二郎さんの彫刻「長い髪の女~胸上布~」、その周りを囲むように松島杜美(とみ)さんの日本画「芥子(けし)とえんどう」、岡本淡雅さんの日本画「観桜」など7点を展示。部屋を隔てる大きな壁には、髙原洋一さんの版画「Atmosphere MANDARA」と秋山基夫さんの詩のコラボレーション作品9点と表紙を展示する。スタッフの加藤淳子さんは「身近にある自然から宇宙のような大自然まで、一部屋に閉じ込めた。解説動画の制作も考えたが、見たい作品に近づいたりクリックしたりと動きのある展示を試みた」と話す。
二つ目の部屋には、宙に浮かぶ「青龍」「玄武」「白虎」「朱雀」の書を展示。曽我英丘さんの作品で、実際は4メートル以上の大きさがある。4つの方角を表す四神と「二十八星宿」、28の星に秋山基夫さんの詩を配置する。「データ通信量のことを考えなければ、書が動くなどもっと多くの表現ができることが分かった。今後のバーチャルの世界にも期待がかかる」と加藤さん。
同施設では現在、「2021天プラ・セレクション」の公募も行っている。公募作品選考展は6月16日~21日に開催される。期間中、同展示もバーチャル映像で見ることができる。「彫刻家の蛭田さんは、『作品をグルグル回って見て、触って作品を感じてほしい』と言われる。バーチャルで感じたこと、リアルで感じることの違いも楽しんでほしい」と話す。
6月21日まで。