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岡山でチームラボ「茶の空間」 福岡醤油ギャラリーに生まれ変わる

チームラボの「Tea Time in the Soy Sauce Storehouse」の担当・竹内正人さん

チームラボの「Tea Time in the Soy Sauce Storehouse」の担当・竹内正人さん

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 チームラボ(東京都千代田区)の空間作品「Tea Time in the Soy Sauce Storehouse」が4月15日、福岡醤油ギャラリー(岡山市北区弓之町)で始まる。

チームラボの空間作品「Tea Time in the Soy Sauce Storehouse」1

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 岡山後楽園から鶴見橋を渡った正面に位置する旧福岡醤油建物は、明治時代に建てられた。2010(平成22)年ごろから使われなくなり、2014(平成26)年から利活用方法をまちの人と考える「たまりBAR」などを開催、2017(平成29)年以降に石川文化振興財団が取得した。今回、改修工事をしてギャラリーとしてオープンする。

 チームラボは、2015(平成27)年にイオンモール岡山(岡山市北区下石井1)で開催した「未来の遊園地」のインスタレーション作品以来、岡山での展示は初めて。

 同建物の地下を使った空間作品の中で茶を飲むことができる。地下へつながる階段を降りるとほとんど照明はなく、背をかがめて通るにじり口のような通路を抜けると水面に浮かんだ赤く光るランプが一面に広がる。席は2人席、4人席、8人席の計14席。

 水面に浮かぶランプの作品名は「旧醤油蔵の共鳴する浮遊ランプ」。ガラス製のランプは、ベネチアのムラーノ島で作られるムラーノガラス。直径が50センチほどあるランプは、下部から上部にかけて乳白色のグラデーションがあり、職人が3人がかりでガラスをふき、1日に1つしか作れないという。

 チームラボではこれまでも2018(平成30)年に「御船山楽園ホテル」(佐賀県武雄市)で開催した展示「森の中の、呼応するランプの森とスパイラル」でもムラーノガラスを使ったことがある。今回の展示で使われるガラスの大きさは、これまでで最大となった。

 提供される茶「EN TEA」は、茶師の松尾俊一さんと丸若屋が作り出す肥前の水出し茶。ウィスキーグラスサイズのグラスに荒く削られた氷を入れ、茶を注ぐ。グラスにはセンサーとスピーカー、バッテリー、LEDライトが内蔵されており、グラスを上げ下げすることで、グラスの色が変わり、効果音が流れる。グラスの上げ下げはセンサーで読み取り、ランプの点滅に影響を及ぼす。ランプの赤い色は新たな周期で点灯し近くのランプの点滅に影響を与え始める。

 チームラボの竹井卓哉さんは「エントロピー増大の法則では、個別の動きがあちらこちらで増えていくと、全体的に見れば無秩序になり、形を崩していくと言われる。一方で、ホタルの集団や人体の細胞、振り子の動きのように、個別に活動しているにもかかわらず、少しずつ秩序が生まれ周期が整っていく現象もある。新しい動きによって、秩序は一度崩されるが、また新しい秩序を形成していく。この空間内では、茶を飲む行為やランプに触ることで新しい動きを加え秩序を壊すが、徐々に調和し始め、秩序を取り戻していく様子を感じることができる」

 チームラボの竹内正人さんは、1カ月前から岡山に入り、エンジニアリングチーム、建築チームなどと設営・調整を行ってきた。「空間内は、没入できる環境を作るために明かり・音・香りなどのバランスを大切にしている。当初はランプの明かりはオレンジ色だったが、水面に映る姿などを実際に設営してみて、現在の赤に変更した。茶を入れるグラス底には、複数個のライトを配置し、光の強さのバランスでグラスの色を変化させる。茶を飲むごとに変化し、グラスの中の氷は多様な色が広がる」と話す。

 「後楽園から近く、あらゆる世代が混じり合う心地の良い場所に展示ができることはうれしい。長期間の開催なので、地元の人に何度でも、体験しに訪れてほしい」とも。

 開催時間は10時~17時。水曜定休。入場料は1,000円(茶代金を含む)。2022年3月31日まで。

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