メキシコ産チョコレート販売する「ciclo(シクロ)」が12月3日、イベント「チョコレートフォンデュとホットチョコレートの甘いひととき」を岡山のセレクトショップ「HAMON(ハモン)」(岡山市北区天神町)で開く。
メキシコ産カカオの生産者・エディさんらが作るチョコレートの歴史や文化を知り、10年間レストランパティシエとして料理サロンを主宰するriche(リシュ)さんがメキシコ産のオーガニックカカオで作るチョコレートフォンデュとホットチョコレートを楽しむイベント。
現在、チョコレート作りに使うカカオ豆の粉砕機器(メランジャー)と焙煎(ばいせん)機器を購入し、「口溶け滑らか」な新商品開発を目指すプロジェクトも開催、応援してくれる仲間を募集していて、12月15日まで、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。
シクロ代表の大尾那奈子さんが2013(平成25)年にメキシコを訪れた時に、メキシコ・オアハカ州でカカオ栽培を手がけるエディさん・アレリさんに出会ったことをきっかけに、チョコレートの販売を2021年に始めた。エディさんらは、トウモロコシや唐辛子の農家、メキシコの伝統酒・メスカルやチョコレートの作り手と一緒に共同体を作り活動している。
現在ネット販売しているチョコレートは、カカオときび砂糖だけで作った「カカオ80%」、バニラビーンズの入れた「バニラ」、トウモロコシときび砂糖のメキシコの菓子・ピレノの入れた「ピレノ」、唐辛子パウダーを加えた「チリ」、コーヒー豆1粒を入れた「コーヒー」、古代メキシコ・アステカ時代の主食とされた雑穀・アマランサスを入れた「アマランサス」、希少なホワイトカカオを使った「カカオブランコ」の7種類。カカオの形状をした約3センチのチョコレートを、シクロが作ったオリジナルパッケージに入れ販売する。
大尾さんによると、メキシコでは3000年以上前からチョコレートがホットドリンクとして飲まれていたという。エディさんは、バナナの木など多様な木の育つ森の中で、鳥や動物たちと共にカカオを育てる伝統的なアグロフォレストリー農法を行い、農薬や遺伝子組み換えの作物を使っていない。
大尾さんがメキシコに関心を抱き始めたのは大学生の時。米ノースカロライナ州の大学で学び、約9カ月間、メキシコ・オアハカ州で現地プログラムに参加したことがあった。プログラムでは、先住民族との共生や経済的貧困の解決に向けて現地で活動する人たちと共に過ごした。メキシコ人たちのいつも笑顔で接し、家族のように輪の中に入れてくれたことを覚えているという。
米国に戻った大尾さんは、メキシコの移民支援を行った。国境を越える時、危険な川を泳いで不法に入国した人や子どもを置いて単身米国に来ている人などの主に日雇い労働の支援などをしていた。「日常的に差別を受けることもあり、つらい思いをする友人もいた。一方的な支援ではなく、経済格差を縮めるための支援が必要だと学んだ。チョコレートはその一つで、良い商品を作り経済活動を行いながら、これまで培ってきた伝統的な生き方や考え方、自然との接し方などは変えず生きていける方法を共に考えたい」と話す。
団体名のシクロは、スペイン語で「輪」を意味する。「イベントでは実際にエディさんらとオンラインでつなぎ、対話をすることもある。遠い国の問題ではなく、顔の見える存在となることで、同じ輪の中にいて共存していく感覚を知ってほしい。いずれはメキシコツアーも企画したい」とも。
開始時間は11時と13時。参加費は2,000円。