浅口市地域おこし協力隊に早川健星(けんせい)さんが9月1日、着任した。
「地域おこし協力隊」は、2009(平成21)年にスタートした総務省の制度で、他エリアから移住をしてきた隊員が、農業・漁業、地域の魅力PR、イベント運営など地域活動を行い、定住・定着を図る。2018(平成30)年は、1061の自治体で5000人以上が活動している。浅口市の隊員は5人目で、現在は早川さんの1人。活動の主軸は、耕作放棄地でレモン栽培に取り組む。
早川さんは神奈川県出身で、2019(平成31)年に岡山市出身の妻と結婚した。早川さんは「大学時代に初めて訪れた時、瀬戸内海の島々と瀬戸大橋の風景にこれまでになく感動した。いつか妻の出身地・岡山で暮らしたいと思うようになった」と話す。
大学卒業後、消防士として勤務し、その後、化粧品などを販売するベンチャー企業でマーケティングやカスタマーサービスなどに従事した。農業の経験はないが田舎暮らしに興味があったことからベランダでナス、キュウリ、オクラなどを栽培したことがあった。暮らしの中で野菜を育てる楽しさを知り、本格的に農業を学びたいと思うようになったという。浅口市を選んだ理由の一つが、農業担当の隊員を募集していたからだという。
借りる畑は、瀬戸内海に面した同市寄島町の丘陵地にある。一帯には農業用水を必要な時に農地に散水する畑地かんがいが施されており、農地活用が課題だった。畑には草が生い茂り、まずは草刈りを行う。今後は畑を耕し、レモンの苗を植え、育てていく。レモンの実は成るのに3年以上かかることもあることから、アボカドなどほかの野菜の栽培、狩猟免許の取得、特産品開発にも挑戦する。
早川さんは「本格的に農業をしながら、田舎暮らしを楽しむ自分の姿を発信することで、同様に移住したいと思う人を増やしたい。提案したいのは農のある暮らし。農業が体験できる場づくりもしてみたい」と意気込みを話す。