就職活動中の大学生向けサービス「ABABA(アババ)」が現在、スタートして3カ月がたった。
アババは、企業が最終面接でやむなく不採用とした学生を、他企業に対して推薦するプラットフォーム。学生をチャレンジ精神、傾聴力、リーダーシップなど18項目と人物評価コメントを作成しアババ上で公開する。公開された大学生に他企業が採用のオファーを申請できる。
大学生は、最終面接に至るまで企業の人事担当と数カ月間やり取りをするが、不採用になった場合、「貴殿の今後益々(ますます)のご活躍をお祈り申し上げます」と書かれた通称「お祈りメール」が届くだけで、すべてのやり取りはリセットされてしまう。同サービスでは、登録企業は「お祈りメール」の最後に「あなたをアババで推薦しました」の文章を加えて送る。
岡山大学理学部4年生の久保駿貴さんは2020年10月に同社を起業し、サービスを開始した。「最終面接まで残った大学生は、企業風土など能力ではなく相性などで不採用になることも多い。大学生は、不採用の理由や自分の評価を知る機会はなく、疲弊してしまう人を見かける。また大学生活で就職活動にかける時間が長く、もっと勉強や研究をしたいと考えている学生も多い」と話す。
現在の登録企業は、ダイヤ工業(岡山市南区古新田)やまつもとコーポレーション(北区表町3)など67社。学生の登録数は400人以上となった。岡山大学キャリアセンターや立命館大学太平洋大学などが正式導入し、大学生の登録も進めている。
NPO法人「POSSE(ポッセ)」(東京都世田谷区)の調べでは、就職活動中の大学生の7人に1人は鬱(うつ)状態にあり、警視庁の調べでは2007(平成19)年から7年間で就職活動が原因で自殺した大学生は218人いた。
久保さんは「企業名・サービス名にした『アババ』と慌てたり悩んだりする大学生が減ることを望んでいる。企業は、最終面接まで残った優秀な学生を獲得するチャンスにもしてほしい。お祈りメールが推薦に変わる同サービスを、コロナ禍の就職活動の学生も企業も活用してほしい」とも。
学生、企業とも登録無料。