地方の教育を発信するウェブメディア「無花果(いちじく)」がスタートして1カ月がたった。
地方の教育に携わる人・団体を取材し、2月15日から掲載を始めた。活動内容や課題を発信する「取材記事」と、中高生に役立つ学習に関する「コラム」で構成している。
取材記事では、2020年に代表が代わったばかりのNPO法人「だっぴ」(岡山市北区表町1)の森分志学さん、「あわくらみらいアカデミー」(西粟倉村)、学校と地域を結ぶ「地域コーディネーター」の三宅康太さんの活動を掲載している。
コラムでは、金沢大学や近畿大学など大学の取り組みと比較を書いた「地方の大学がアツい!」や、スタンフォード大学や東京大学などの授業がオンラインで受けられる「MOOCs(ムークス)」について書いた「気になる大学の講義を無料で取り放題!」などの記事を掲載している。
運営する「conote(コノテ)」の宮下加奈子さんは、現在、国際教養大学(秋田県秋田市)の4年生。「地方の教育現場は私立が少なく、国際バカロレアなど選択肢の少なさが課題。都市部では学校外で大人に出会う機会もあり、大学進学の動機やロールモデルを見つけやすい。地方の事業を紹介し、情報格差を少しでも少なくしたい」と話す。
conoteでは、オンライン塾「PENTUS(ペンタス)」を2020年8月に開設。東京大学など難関大学の現役大学生が先生として、県内の受験生に勉強だけでなく、モチベーション管理や成績を上げるポイントなどを教える。受験生からのヒアリングで、地方での情報格差を感じ、「無花果」を開設することにしたという。
「取材した人や団体を通して、答えを提供するのではなく、教育について一緒に考えるメディアにしたい。『無花果』は花がない果実と書くが、花は実の中にたくさんある。外から見た結果や実績にだけで評価されることが多いが、子どもはしっかり内側で花を咲かせる。メディア名のように、子どもの秘めた可能性を信じて発信している」とも。