アーティスト滞在型制作「レジデンスイン荘内」の一環で、フランス人アーティストShab(シャブ)さんが描いた帆布製の帆を6月1日、胸上港(玉野市胸上)で船上展示した。
シャブさんは、仏リヨンで壁面アートなどを制作する画家。2023年に来日し、滞在しながら壁面アートを描いた。同事業をコーディネートする賀儀山泰志さんがリヨン滞在中に出会い、滞在型制作を行うことになった。前回は、縦2メートル・横4メートルの地域の人たちの顔をモチーフにした絵画を地域の人と一緒に描いた。
今回は、岡山で唯一の木造和船大工である賀儀山さんが、共和林業(美作市右手)が木を切り、4カ月乾燥させた木材を使って約1カ月で作り上げた。全長約5メートル、最大幅1.2メートルの櫓(ろ)でこぐ日本古来の和船。
シャブさんは、賀儀山さんの船に立てる帆を描く。1メートル四方の帆布4枚にそれぞれキツネ、天狗(てんぐ)、仮面姿の米ラッパーのMF Doomさん、スプレー缶のオリジナル妖怪をモチーフにした絵を描いた。シャブさんは「前回、日本に来た時から妖怪の存在が気になっていた。悪魔のようでもあり、神でもある。帆に描いた4つの仮面が、船の守る神になるというコンセプトで描いた」と話す。
期間中、荘内中学校の生徒約15人が色塗りを手伝ったほか、笠岡市の金浦湾で行われる和船競漕(きょうそう)「おしぐらんご」に参加するなどした。シャブさんの滞在場所などは地元・玉野の相賀仏光堂が提供した。
当日は20人ほどの地域の人が和船に乗り込み、船上での展示を楽しんだ。シャブさんは、船上の人に、船をモチーフにしたオリジナルスタンプを押したチケットを手渡した。賀儀山さんは「友人のシャブさんと一緒に制作できてうれしい。フランス人とは笑いのツボが似ていると感じる反面、意見もぶつけ合えるいい関係。子どもが楽しく船に乗ってくれたことも印象的だった」と振り返る。
今後、帆はリオンで展示するほか、船は櫓(ろ)こぎ体験に使う予定。