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岡山発の「グローカル」出版相次ぐ-出版工程や内容にもグローバル化

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 出版などを手掛ける「吉備人(きびと)」(岡山市北区丸の内2)から、出版工程や内容がローカルでありながもグローバルな「グローカル」な出版物が相次いで出版されている。

続編が続々と

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 同社社長の山川さんによると、創業した1995年以降で、2013年内に手掛けた出版物の数が43冊と、過去最高となったという。「創業以来、年平均は25~30冊程度。とにかく慌ただしい一年だった」と振り返る。

 吉備人出版の手掛ける書籍のほとんどは地元岡山に関するもの、または岡山に縁のある著書などが中心。「以前出版に携わった著者やグループなどからのリピートが増えたこと、新しいタイプの企画、編集手法が出版点数増加の理由」と分析する。

 「みまさか鉄道物語」(小西伸彦 著)は2008年に出版した「鉄道遺産を歩く-岡山の国有鉄道」に続く第2弾。岡山という広い範囲で紹介された地元岡山のローカル鉄道のコンテンツを、今回は「岡山北部の美作(みまさか)地域をより深堀りした内容」にした。全国のローカル鉄道ブームの背景もあり、第2弾の出版となった。

 「上山集落物語」も2011年に出版された「愛だ!上山棚田団-限界集落なんて言わせない!」の続編。同書は吉備人出版の創立15周年記念原稿募集に応募してきた「英田上山棚田団」が最優秀賞作品に選ばれ、その副賞として刊行されたという。当時、山川さんはその活動やグループにも心当たりがなく、「関係者にこの人たちの原稿の内容は本当なのか、大丈夫なのか?」と念を押して聞いて回った」と笑う。

 今では同団の活動は国内だけでなく台湾やミャンマーなどへ縁脈を広げるほど。最近ではその活動である英田上山棚田再生プロジェクトが、日本ユネスコ協会連盟「プロジェクト未来遺産」に登録されるなど国境を超える活動を見せる。

 「Bakery Producer(ベーカリープロデユーサー)」は全編英文の、山川さんが手掛けた中でも変わり種の一冊。この本にもその前編ともなる本「小さなパン屋の革命」(河上祐隆 著)の存在がある。

 安心安全な無添加パン作りにこだわった著者の30年にわたる「パン人生」をまとめた一冊。もともとは大阪を拠点にしていた著者が、子どものぜんそくなどを考え自然豊かな岡山に移住、そこから第二の人生をスタートさせたストーリなどが織り込まれている。

 今回全編を英文にしたのは、著者の想い「日本の安心安全、美味しいパンとその作り方、それを作り出すパン屋さんを世界に広めたい」を具体的な活動にするための「バイブル作り」だという。

 本作りには、山川さんの英国で活躍する日本人の出版社との縁が力を貸した。同社の紹介による英国の翻訳者とは、ネットを介してのミーティングやデータの送受信などで地理や時差のハンディは全く感じなかったという。

 「この新刊3冊にはすべて前編があり、その著者との関係や想いがさらに熟成されて、コンテンツがより深く、そして広がった」と山川さん。「紡いだのは想いだけでなく、編集面でも海外とはインターネットでつながることで多国語の出版なども可能になった。岡山といういわばローカルな場所からでも、グローパルな活動を、グローバルなネットワークを駆使して手伝うことができたことに、さらなる可能性を感じる。縁のある人が、世界に向かってグローバルに活躍する様を、出版物を通して広く伝える事は、とても面白くやりがいのある仕事」と話す。

吉備人出版(吉備人)
〒700-0823
岡山市北区丸の内2丁目11-22フクヤマビル2F
TEL 086-235-3456

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