9月以降に解体される岡ビル市場(岡山市北区野田屋町1)で現在、14年ぶりにサワラプロジェクトが再始動する。
岡ビル市場の壁面に2012年に設置されたサワラモニュメント1
同市場は、戦後の引き上げ者を中心に1946(昭和21)年に闇市ではなく、適正価格で多くの人に提供できるようにと前身となる岡山マーケットを設立。株式会社化し、1951(昭和26)年に現在の1階が市場、2~4階が市場で働く人たちが住む住居として竣工した。鮮魚店、青果店、卵店など80店でスタートした市場は、店主と客が会話を楽しみながら買い物をする対面販売が70年以上にわたり守られてきた。
同ビル60周年の2012(平成24)年、岡山県立大学デザイン学部の学生有志が中心となり、デザイン案を提案し、約1年9カ月の後、壁面にサワラをモチーフにした約5メートルの金属製モニュメントを設置した。
スタート時は十数人の学生4チームがプレゼンテーションを行ったが、一度は全ての案が却下となった。店主らと模造紙を前にアイデアを再度出し合うところから始め、「岡ビルを、岡山を、もっと活性化するようなものにしたい」という思いと「桃」「サワラ」「桃太郎」の印象的な岡山のものを題材とすることに決めた。
制作チームの青木絵里香さんが、3つのキーワードから絵本を作り再度提案し、条例などの制限や制作、コストなどから金属を用いたモニュメント案を数十種類、模型を作るなどして提案。外部アドバイザー、制作、施工を手がけた企業などの力を借りながら完成を迎えた。
青木さんは「市場で働く人たちのおいしいものを提供するプライドを持った姿勢、また振る舞ってくださる全てが食べたことのない新鮮さと人の温かさを感じたことを今でも覚えている」と話す。
解体時にサワラモニュメントは、同ビルで鮮魚店を営む林宗男さんが移設保管したいという思いもあるが、現在、計画は未定。岡ビルのこと、サワラモニュメントプロジェクトのこと、そして岡山の活性化を残せる手段として岡山県立大学卒業生でもあるイラストレーターのヒダカナオトさんと共同で絵本の作成を企画している。
8月1日には「サンキュー岡ビルさよならマルシェ」を開催する。既存店舗や外部の飲食店や物販店約15店が出店を予定。音楽イベントや句会、岡ビル見学会も予定している。サワラモニュメントプロジェクトの概要が分かるパネル展示を行うほか、昨年11月に開催した愛知県立大学大学院生の吉田瑠那さんが岡ビルの歴史をまとめた展示から抜粋した写真も展示する。
林さんは「75年の歴史を閉じる岡ビル。多くの人に愛されてきたことに感謝しつつ、まだ訪れたことのない人にも、一日だけでも記憶のどこかに岡ビルがあったことを残してもらいたい。壁面をメッセージボードにして、思いを書いてほしい。また再開発で5年後に愛される場所を一から作っていく原動力になると信じている」と話す。
「サンキュー岡ビルさよならマルシェ」の開催時間は10時~18時。