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岡山県立美術館で特別展「サーカス」 木下大サーカス公演に合わせて

岡山県立美術館の特別展「サーカス」担当学芸員の橘凛さん

岡山県立美術館の特別展「サーカス」担当学芸員の橘凛さん

 企画展「サーカス!~ようこそ夢の世界へ~」が現在、岡山県立美術館(岡山市北区天神町)で開かれている。

国吉康雄「ミスターエース」

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 同展は、木下大サーカスが2022年以来4年ぶりに岡山公演が行われることを機に企画された。展示の最後には、歴代のポスターや舞台衣装を展示するほか、サーカス映像の展示やチケットの相互割引もある。

 同サーカスは1902(明治35)年に中国・大連で創業し、ロシア戦争に伴い岡山を拠点に移す。ロシアのボリジョイサーカス、アメリカのリングリング・サーカスと合わせて世界三大サーカスと呼ばれる。

 1部では、サーカスにまつわる絵画を多く制作した画家のシャガールとルオーの作品を展示。シャガールはパリの常設サーカス劇場の華やかな姿、ルオーは貧しい旅するサーカス団の裏側の苦悩を描いている。ルオーは作品の3分の1をサーカスや道化師を画題としたという。

 2部では、江戸時代に京都、大阪、江戸で行われたはしご乗り、綱渡りなどの軽技(かるわざ)興行の様子を描いた作品や、1872(明治5)年に来日した仏・スリエ曲馬団、猛獣使いをする伊・チャリネ曲馬団を描いた作品などを展示する。当時は馬の芸が主流だったが、1933(昭和8)年に来日した動物園が主体となった独・ハーゲンベックサーカスにはゾウ、アシカ、ライオン、トラなどの動物が多く登場し、この頃から「サーカス」と呼ぶようになったという。

 3部の前半では、版画家・川西英の木版画、1922(大正11)年に創刊した児童雑誌「コドモノクニ」の武井武雄の表紙絵や竹久夢二の絵などを展示するほか、倉敷出身の画家・児島虎次郎が描いた「木下サーカス」には、当時の名前「日本アームストロング木下巡業隊」の文字の一部が描かれている。

 特別出店として現代切り絵作家の酒井淳美さんの「光の切り絵~旅する光のサーカス~」を展示。酒井さんが昨年夏に取材に行き、制作した切り絵を元に、複数のプロジェクターで空間に映し出す。歓声や拍手、手拍子などは木下サーカスで録音したものを使う。

 3部の後半では、20世紀になりフランスに留学し描いた海老原喜之助や荒井龍男の作品、古賀春江のサーカスを題材としながらも抽象度の高い「サーカスの景」を展示するほか、空中ブランコに捕まる人の首にかけられたひもで人をつり下げている様子を描く岡山出身の三橋健の「サーカス」は実際に木下サーカスで当時行っていた演目「人間チェーン」を描いたようにも見える。

 4部ではパブロ・ピカソの「貧しい食事」、マリー・ローランサンの「サーカスにて」など西洋の画家、三岸好太郎の「少年道化」、林重義の「Les Fratellini」、国吉康雄の素顔を見せる道化師を描いた「ミスターエース」などの日本の画家が描く道化師を展示する。日本では大正時代から道化師は「顔で笑って心で泣いて」のような二面性を文学の中で描かれていたという。

 5部ではアンリ・マティスのジャズシリーズのうち8点、ポーランドのサーカスを題材にしたポスターを展示する。

 同館学芸員の橘凛さんは「サーカスは、神話や歴史を描いていた画家にもたらした新たな題材として、多くの作家が描いた。非現実的な世界であり、非日常なところにフォーカスされ、画家の想像力が発揮されている。国や時代の違いなどによって、サーカスをどう描かれてきたのか、それぞれの魅力を探してほしい」と話す。

 8月29日には美術館講座「近代日本の画家とサーカス」(14時~15時)を行うほか、木下大サーカスのパフォーマーが行うミニサーカスショー(18時~)も予定している。

 開館時間は9時~17時。入館料は、一般=1,500円、大学生・高校生及び18歳未満=1,000円ほか。9月23日まで。

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