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岡山で備前焼作家・石田和也さん個展 磁器を使った新たな挑戦

備前焼作家の石田和也さん

備前焼作家の石田和也さん

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 テンプラセレクションVol.105「石田和也展~備前磁器の世界~」が10月30日、岡山県天神山文化プラザ(岡山市北区天神町)で始まった。

備前焼作家の石田和也さん2

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 テンプラセレクションは、岡山ゆかりの作家を対象に個展形式の企画展。同展は、公募と推薦の2部門があり、今回は推薦委員が作家を決定したプラス部門。推薦人は、備前焼作家の隠崎隆一さん。同シリーズ展で備前焼作家が展示を行うのは、2018(平成30)年の中本研之さん以来となる。

 石田さんは1986(昭和61)年、備前市伊部生まれ。備前焼作家で人間国宝の伊勢崎淳さんに師事。2011(平成24)年からイギリスの工房を経験し、オクスフォード大学の客員教授を勤めた。2020年から、耐火レンガの生産地・備前市三石地区にある土橋鉱山から取れる磁器の原料セリサイトを使い、「備前磁器」と名付け制作してきた。

 今回は、石田さんにとって初のアート作品展。入り口には、備前磁器の素材となる白い磁器粘土をほぼそのままの姿に見える作品「Origin」を展示。会場内は自ら体験した地下150メートルの鉱山の内部と見立て、作品を配置する。球体を基本とした作品5点、鉱山内のつららとはじける水しぶきを表した作品「Icicle」と「Ripple」、コバルトで青く光る作品「Bizen Gem」が、薄暗い会場内にスポットライトで照らされる。

 石田さんは「これまでの備前焼が持つ技術を使って、新たな素材でできる表現の可能性を感じてもらいたい。球体は伊勢崎淳さんの工房でも何度も作ってきた形状。球体は技術の高く、大きくなればなるほど難しい。原点となる作品を作りたくなり球体を選んだ。砂利のような荒いもの、砂のようなきめ細かいものまで数種類の粒度の違う素材を使い分け、表情を工夫していった。目指すのは、できるだけ人の手で作られていないように見えること。技術的にも、経験値的にも高いものがありながら、まるで自然物であるかのような作品は美しい」と話す。

 2階展示室には、工芸品としての備前磁器として、つぼ2点を展示している。

 「工芸作家としてのバックグラウンドがあることからか、表現することへのコンプレックスが実はある。アートの領域は手を出すのが怖かった。形の美しさだけではだめ。何を作りたいのか、何を見せたいのかを感覚的でもあり具体的に見せることで、感動してくれるのでは。1000年続く備前焼の歴史を踏襲しながらも、新たな領域に挑戦していく。好奇心の高まることをかけ合わせていく」とも。

 同じ素材を使った工芸作品としての備前磁器を手に取れる機会を、元旅館をリノベーションした貸し店舗「茶房たきもと」(中山下2)で提供する。ワインと一品料理を提供する「LOVE SONG」、コーヒー店「something like that」、ワインショップ「菊間和也from slowcave」、すし・割烹「竹本真之from 喜怒哀楽」、スパイスカレー「わすれんぼう」でも11月10日まで、コラボイベントを開催する。

 開催時間は9時30分~17時。月曜休館。11月10日まで。

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